福田印刷工業株式会社
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しっかり オフ からの オン
リレートーク
東京営業部 部長 平出竜太郎

 完全に油断していた。まさか自分が福美会だよりのリレートークで選ばれるとは予想していなかった。とはいえ選ばれた以上は可能な限りスマートに応えたいという思いだけはある。暫く何を書こうかと考えた。世の中はコロナ禍で先が見えない状況にある。8月現在も東京都が緊急事態宣言下にあるなかで、年相応且つ洒落乙な話題を、と考えてはみたものの全く思いつかない。こういう時に拘りを持って生きている方や多趣味な方はネタに困ることはないだろうと思いながら結局、無駄に日ばかり経ってしまった。
 せめて週末は真剣に取り組もうとするが、たまたま部活動が休みの長女と完全に夏休みを謳歌している次女がSwitchの使用権を巡って朝から喧嘩している。嫁は隣駅にある実家に用事があり、自分が娘2人の面倒を任されている。何とかうまくおさめようと努力するが、嫁の不在をいいことに朝から酒をあおる親父の発言などに耳を貸すわけもなくダラダラと時間だけが過ぎていく。威厳も何もない。

 因みにこの時、肴として用意した枝豆は嫁の実家で収穫したものである。毎年6月下旬頃から8月末頃までに収穫を手伝う、自分にとっては大事な恒例行事だ。田舎だからできることだろうが、『土いじり』は本当に良い。日頃から余計なことを考えがちな自分もこの時ばかりは何も考えず、ただ黙々と作業をする。それが良い。この時期、炎天下での作業は堪えるが収穫後、 たくさんの野菜や果物をいただいて帰る。枝豆はもちろん、トマト、茄子、胡瓜、白菜、スイカなどその種類も豊富だ。
 そうこうしているうちに、どうやら次女が使用権闘争に敗れたらしい。不貞腐れ外出しようと誘ってくる。こちらも嫁の帰宅前に酔いを覚ます必要もあり、一緒に近所を散歩することになった。自分が住む越谷市は日本橋から日光までをつなぐ日光街道でかつて3番目の宿場町として栄えた歴史を持つ。現在も一部の古民家や蔵が残っており、少し歩けば、そのような古民家をリノベーションした複合施設がみえてくる。3年前にできた 「はかり屋」もその一つだ。フランス料理やジビエ料理などのレストラン、ギャラリーショップ、農薬や化学肥料を使用しないで育てた野菜が売りのお店などが入居し、地元民が訪れる。因みにこの野菜を販売している店主が従兄弟ということもあり、最近、お気に入りの散歩コースとなっている。もとは福島県出身の方だが40代後半に脱サラし、去年の3月から常設店舗として店を経営している。地域に伝わる固定種が中心だが、近所のスーパーなどではあまり見かけない珍しい野菜も栽培している。自分が『土いじり』に興味を持っていることを知ってから、収穫時期や珍しい野菜が店にでると連絡をくれる。家族のため、生活をかけて農業に取り組んでいる方を相手に安易な気持ちで収穫のお手伝いを、というわけにはいかないが、それでも機会をみて参加させてもらい様々なことを教えてもらっている。コロナ禍で経営も決して楽ではないと聞く。力になれることは限られているが、不思議なご縁で大事にしたいと思う。因みに、本当にたまたまだが8月14日18時のテレビ朝日系列の「人生の楽園」で特集されたと聞いて驚いた。真面目に野菜に向き合う従兄弟と、それを支える家族や、応援してくれる仲間達との交流を紹介されていた。
 店先でそんな話をした後、結局この日もなんだか分からない南米起源の芋を購入し帰宅の途につく。何となくつけたテレビではオリンピックの映像が流れている。無観客という異常な事態ではあるが、この日のために全力で準備をしてきたであろう各国のアスリートの必死な姿は週末の怠惰な生活を送っている自分のハートを熱くする。
 いつものように準備する。結局、今日もなんだか分からない芋を肴に酒を呑む。明日からしっかり気合入れて働こうっと。

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